みなさまこんにちは、上地正寿です。
令和7年6月1日から労働安全衛生規則の改正があり、企業における熱中症対策が義務化がされます。
通達も令和7年5月20日に出されました。
(労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について基発0520第6号令和7年5月20日)
その通達について、企業が行うことなど重要なポイントを確認しましょう。
改正の背景
職場における熱中症による労働災害が深刻化しており、令和6年には休業4日以上の死傷災害が1,195人と調査開始以来最多を記録しました。特に死亡災害については3年連続で30人以上となり、労働災害による死亡者数全体の約4%を占める事態となっています。気候変動の影響により夏期の高温日が続く中、熱中症対策の法制化が急務となっていました。
新設される法的義務(令和7年6月1日施行)
1. 報告体制の整備義務(新安衛則第612条の2第1項)
事業者は、熱中症を生じるおそれのある作業を行う際、以下の体制を事前に整備し、作業者に周知しなければなりません。
・熱中症の自覚症状がある場合の報告体制
・他の作業者が熱中症の疑いを発見した場合の報告体制
・報告を受ける責任者の連絡先の明示
・随時報告を受けられる状態の維持
2. 対応手順の作成・周知義務(新安衛則第612条の2第2項)
作業場ごとに以下の手順を定め、作業者への周知が義務付けられます:
・作業からの離脱手順
・身体冷却の方法
・医師の診察・処置を受けさせる手順
・その他熱中症の症状悪化防止に必要な措置
適用範囲と判定基準
対象となる作業
・湿球黒球温度(WBGT)28度以上または気温31度以上の場所
・継続して1時間以上または1日当たり4時間超の作業
・非定常作業や臨時作業も条件を満たせば対象
※WBGTは、暑熱環境による熱ストレスを評価する国際的に標準化された暑さ指数のこと。単純な気温ではなく、人体の熱収支に影響を与える複数の環境要因を総合的に評価する指標として、日本産業規格JIS Z 8504で規定されています。
対象者の範囲
労働者のみならず、同一場所で作業に従事する労働者以外の者(請負業者等)も含まれます。
企業が講ずべき具体的対応
1. 体制整備における推奨方法
・責任者による作業場所の巡視
・バディ制の採用(2人以上での相互健康確認)
・ウェアラブルデバイスを活用したリスク管理
・定期連絡システムの構築
2. 身体冷却の具体的方法
・作業着を脱がせて水をかける
・アイスバスの利用
・涼しい休憩所への避難
・アイススラリ・(流動性氷状飲料)の摂取
3. 複数事業者の混在作業への対応
建設現場等では、元方事業者と関係請負人の全てに措置義務が発生します。違反があった場合、元方事業者のみでなく、当該作業場に関わる全事業者に違反が生じることに注意が必要です。
実務上の留意点
1. 安全衛生教育への組み込み
雇入れ時等の安全衛生教育および職長等に対する安全衛生教育において、熱中症が疑われる者に対する応急措置を含める必要があります。
2. 回復後のフォロ・体制
熱中症は帰宅後も症状が悪化する可能性があるため、回復後の体調急変時の連絡体制や対応手順を事前に定めておくことが重要です。
3. 判断に迷う場合の対応
#7119等を活用して専門機関や医療機関に相談し、専門家の指示を仰ぐことが推奨されています。
重要なポイント
本改正は労働安全衛生法第22条に基づく措置義務であり、違反した場合は労働基準監督署による指導・処分の対象となります。特に建設業等では、適切な記録保存と監督署による確認への対応準備が必要です。
企業としては、この法改正を機に、既存の熱中症対策の見直しを行い、より実効性のある予防体制を構築することが求められます。単なる法令遵守にとどまらず、労働者の生命と健康を守る観点から、積極的な取り組みが期待されています。
→ 労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(令和7年5月20日付け基発0520第6号)

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今日も最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さんにとって、素敵な一日になりますように!!
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